法律エッセイ

法曹人口問題

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法曹人口問題、というのは新聞紙上に載ることもしばしばで、そこそこホットな議論であると思うが…。自分は、この議論を聞くたび少々萎える。

どのグループにも、これからこうしたいので人口はこうあるべきなのだ、というポリシーが見えない。数を議論する前に、”こういうことがしたい、だから、数はこういう風であるべきだ”という議論が必要であると思うが、まったく見えない。弁護士界でも、基本的には急激に増えすぎたことへの弊害にどう対応するかという消極的なことしか視野に入っていない。”法曹人口を緩やかに減らすべきか、劇的に減らすべきか”、という議論をしているようだが、どちらにも、今後弁護士はどういう風になっていくべきなのか、という意思が見えない。

端的にいってしまえば、”改革に失敗したので昔に戻せ”と言っている人たちと、”そうは言っても我々も改革に賛同してきたのだからあまり急に減らすのもアレでしょ”、と言っている人たちがいるに過ぎない、と感じる。

賢き御方々の脳内で行われ、現場感なく行われる政策がうまくいかないことは、どの分野においても同じであると思う。

ちなみに最近、予備試験が本来の趣旨(経済的に不利な人たちのための入口を確保する)から外れてしまっている、という記事をしばしば目にするが、予備試験がバイパス化すること(偏差値高めの若者たちの近道エリートコースになるということ)は、ロースクールが始まる前から伊藤塾の無料パンフレットでも指摘されていたような事柄であり、誰でもわかっていることであったのである。

丸見えなのに見えないことにして突っ込み、粉砕するという様は、何かを彷彿とさせる。

もちろんどれも私見に過ぎないが。

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