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インティマシーコーディネーターとは?意義・役割・法的観点を概説

インティマシーコーディネーターというのは、最近わりとよく耳にするようになった言葉かなと思います。

制作現場・・寄りのトピックかもしれませんが、コンテンツ業界(映像作品)のコンプラ関連という意味では、最近の法務・・トピックともいえるかなと。

この記事はnoteにもサマリー版を掲載しています

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このポストを見たときに、「あ、インティマシーコーディネーターの人が司会っぽいことしてるな」と思い、この機会にちょっと記事にまとめてみようかなと、本記事を書いています(※動画自体はインティマシーコーディネーターを取り上げた内容ではありません)。

インティマシーコーディネーターとは

インティマシー・コーディネーターは、映画・ドラマ・舞台などの制作現場において、ヌードや性的表現、身体的接触を伴う「親密な場面(intimate scenes)」の安全性・尊厳・表現の質を担保する専門職です。

演出側と演者の間に立ち、事前の合意形成、場面の振付・コーディネート、現場管理を行い、心理的・身体的被害の予防と記録を通じたリスク管理を担います。

主に性的シーンの撮影において演者側の尊厳が傷つけられることのないよう演者側と演出側の意向を調整する役割の職種、といった内容ですが、日本ではまだ職種が誕生して日が浅いため模索が続いているとされています(以下Wikiを参照)。

上記ポストの西山さんや、以下ポストの浅田さんら数名の方々が、現在この仕事に携わっておられるようです。

▽J-WAVE NEWSのXアカウント

MeToo運動以降、制作現場での性的被害や権力構造が問題化したことを契機に、2010年代後半からインティマシーコーディネーターの導入が欧米を中心に進んだとされています。日本でも専門家が現れ、制作に導入する事例が増えつつあるものの、まだ数は多くないという状況かと思います。

インティマシーコーディネーターの役割

インティマシーコーディネーターは、単なる演技補助ではなく、制作現場における安全管理・同意確認・表現の質保証を同時に担う専門職です。

法的には、

  • 刑事責任の排除にはならないこと
  • 事業主の安全配慮義務やハラスメント防止義務の具体化手段となること
  • 映像・個人情報管理
  • 未成年者保護
  • 労災対応

といった複数の法領域と交差する立ち位置にあるといえます。

コンテンツガイドラインなどに含めるかどうかは別として、ネトフリやアマプラなど外資が参入してきたことによる、グローバル基準への適応の一場面でもあるのだろうなという感じがします(黒船とビジネスするためには必要)。

また、代わりになるものではないですが、女性のプロデューサーやディレクターを入れるようにするといった方針をとることで、多少なりともこの方面に配慮しようとすることもしばしば見かけるように思います。

別の観点から見ると

別の話ですが、公正取引委員会も、最近下請法やフリーランス法の適用・実態調査などを通じてコンテンツ業界に力を入れている感じがしますが、これも方向性としては軌を一にしているように思います(個人的感想)。

これまでの取引慣行からの脱却という意味で、契約水準の整備もグローバルと取引するには必要あるいは有益、ということです。もちろん、公取委が直接その意図でやっているわけではないとは思いますが。

▽公正取引委員会のXアカウント

結び

以上、サクッと法務トピックでした。

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