最近、「グリーンウォッシュ」という言葉を、ニュースなどでチラホラ見かけるようになった気がします。
ちょうど、西村あさひ(N&A)のポストでニューズレターとして取り上げられていましたので(2025/9/5)、サクッと見てみたいと思います。
この記事はnoteにもサマリー版を掲載しています
本日のピックアップPOST
■ニューズレター■
— 西村あさひ法律事務所・外国法共同事業 (@Nishimura_law) September 5, 2025
消費者への表示とグリーンウォッシュ(Greenwashing)
執筆弁護士:森田 多恵子、有松 晶、岡田 彩、伊藤 沙条羅https://t.co/w2P5CsU5LN pic.twitter.com/5DN7IplDvj
リンク先にあるニューズレターは以下です。
グリーンウォッシュとは
グリーンウォッシュというのは、要するに、実態が伴わないのに環境に配慮しているかのように装うことです。
つまり、実際の環境負荷低減や環境配慮の実態が十分でないにもかかわらず、製品・サービス・企業活動が「環境にやさしい」「カーボンニュートラル」「生分解性」等であるかのように示す行為などです。近年、消費者や投資家の環境志向の高まりに伴って、虚偽・誇大な環境主張が増加し、これを巡る問題が注目を集めるようになっています。
代表的な類型(マーケティング上の手口)としては、例えば、
- 用語のあいまい化
ex. 「eco」「green」「sustainable」といった根拠不明な文言 - 重要な事実の隠蔽
ex. 製造工程や原料調達における環境負荷を示さない - 範囲・期間のごまかし
ex. 「この商品はカーボンニュートラル」と表示しているが、オフセット(=排出権購入(カーボンクレジット)などによる相殺)のみを根拠にしている - 比較の歪曲
ex. 比較対象を不適切に選ぶことで自社製品が相対的に優良に見える表示 - 偽の第三者ラベルや、検証がない自己宣言(self-declared claim)を誇張して示す
といったものが挙げられ、またこれらはしばしば複合して行われ、消費者等の誤認を引き起こすことになるとされています。
法的な論点
グリーンウォッシュは国際的にも注目されているわけですが、日本では、消費者を誤認させる表示を規制する主要法は、景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)なので、一般的な法規制としてはこの範ちゅうになります。つまり、景表法の下で優良誤認表示が問題となり得るということです。
また、関連するガイドラインとしては、環境省の「環境表示ガイドライン」などが挙げられています。
プロパーの分野としては、金融商品・運用の分野でも、投資家の判断を誤らせるような「サステナビリティ表示」もグリーンウォッシュとして問題となります。
今後、企業・運用機関に対する開示義務や監査の強化や、これに伴う法的リスクの増加が予想されています。
結び
グリーンウォッシュは単なる倫理問題というより、具体的な消費者被害と市場歪曲を招く法的リスクと認識されつつあります。国際機関や各国当局は既に関心を示しており、規制・執行は強化される傾向にあるようです。
以上、サクッと法務トピックでした。
[注記]
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