インティマシーコーディネーターというのは、最近わりとよく耳にするようになった言葉かなと思います。
制作現場寄りのトピックかもしれませんが、コンテンツ業界(映像作品)のコンプラ関連という意味では、最近の法務トピックともいえるかなと。
この記事はnoteにもサマリー版を掲載しています
本日のピックアップPOST
西山ももこさん( #インティマシーコーディネーター )
— 内閣府男女共同参画局 (@danjokyoku) April 28, 2025
「どんな格好してても触っちゃいけないし、夜どんなに遅くても襲っちゃいけないわけですよ」「絶対してはいけないよね、というのをスタンダードにしていかなければいけない」
👉https://t.co/nKXxJYUtJC#若年層の性暴力被害予防月間 pic.twitter.com/gxwpGnkYwG
このポストを見たときに、「あ、インティマシーコーディネーターの人が司会っぽいことしてるな」と思い、この機会にちょっと記事にまとめてみようかなと、本記事を書いています(※動画自体はインティマシーコーディネーターを取り上げた内容ではありません)。
インティマシーコーディネーターとは
インティマシー・コーディネーターは、映画・ドラマ・舞台などの制作現場において、ヌードや性的表現、身体的接触を伴う「親密な場面(intimate scenes)」の安全性・尊厳・表現の質を担保する専門職です。
演出側と演者の間に立ち、事前の合意形成、場面の振付・コーディネート、現場管理を行い、心理的・身体的被害の予防と記録を通じたリスク管理を担います。
主に性的シーンの撮影において演者側の尊厳が傷つけられることのないよう演者側と演出側の意向を調整する役割の職種、といった内容ですが、日本ではまだ職種が誕生して日が浅いため模索が続いているとされています(以下Wikiを参照)。
インティマシー・コーディネーター|Wikipedia
上記ポストの西山さんや、以下ポストの浅田さんら数名の方々が、現在この仕事に携わっておられるようです。
▽J-WAVE NEWSのXアカウント
【大河ドラマ『#べらぼう』でも活躍。日本初の「#インティマシーコーディネーター」が語る、その仕事の進め方】
— J-WAVE NEWS (@jwavenews_bot) April 22, 2025
日本でも広がりつつある仕事に注目📣🔎
▼記事https://t.co/8YXqmwMBGL#jwave #allgood813 #浅田智穂 #LiLiCo #稲葉友
MeToo運動以降、制作現場での性的被害や権力構造が問題化したことを契機に、2010年代後半からインティマシーコーディネーターの導入が欧米を中心に進んだとされています。日本でも専門家が現れ、制作に導入する事例が増えつつあるものの、まだ数は多くないという状況かと思います。
インティマシーコーディネーターの役割
インティマシーコーディネーターは、単なる演技補助ではなく、制作現場における安全管理・同意確認・表現の質保証を同時に担う専門職です。
法的には、
- 刑事責任の排除にはならないこと
- 事業主の安全配慮義務やハラスメント防止義務の具体化手段となること
- 映像・個人情報管理
- 未成年者保護
- 労災対応
といった複数の法領域と交差する立ち位置にあるといえます。
コンテンツガイドラインなどに含めるかどうかは別として、ネトフリやアマプラなど外資が参入してきたことによる、グローバル基準への適応の一場面でもあるのだろうなという感じがします(黒船とビジネスするためには必要)。
また、代わりになるものではないですが、女性のプロデューサーやディレクターを入れるようにするといった方針をとることで、多少なりともこの方面に配慮しようとすることもしばしば見かけるように思います。
別の観点から見ると
別の話ですが、公正取引委員会も、最近下請法やフリーランス法の適用・実態調査などを通じてコンテンツ業界に力を入れている感じがしますが、これも方向性としては軌を一にしているように思います(個人的感想)。
これまでの取引慣行からの脱却という意味で、契約水準の整備もグローバルと取引するには必要あるいは有益、ということです。もちろん、公取委が直接その意図でやっているわけではないとは思いますが。
▽公正取引委員会のXアカウント
【音楽・放送番組等の分野の実演家と芸能事務所との取引等に関する実態調査報告書を公表】
— 公正取引委員会 (@jftc) December 26, 2024
音楽・放送番組等の分野の実演家(アーティスト、俳優、タレント等)と芸能事務所との契約等について独禁法及び競争政策上の考え方を示しました。https://t.co/x2LrQrobGr#芸能 #移籍 #独立 #芸能人に届け https://t.co/MmI4JxW6CC pic.twitter.com/pA53CUurkh
【1月29日の事務総長定例会見】
— 公正取引委員会 (@jftc) February 3, 2025
会見記録(発言内容、配布資料、質疑応答)をホームページに掲載しました。
会見テーマは画像をご覧ください。
定例会見の詳細はこちら🔽https://t.co/qxp3TIP5xe#公正取引委員会 #映画 #アニメ #制作 #クリエイター https://t.co/F0hS3xghBv pic.twitter.com/RKLlCn3Kud
結び
以上、サクッと法務トピックでした。
[注記]
本記事は管理人の私見であり、管理人の所属するいかなる団体の意見でもありません。また、正確な内容になるよう努めておりますが、誤った情報や最新でない情報になることがあります。具体的な問題については、適宜お近くの弁護士等にご相談等をご検討ください。本記事の内容によって生じたいかなる損害等についても一切の責任を負いかねますので、ご了承ください。