本日、将来販売価格執行方針を踏まえた初の措置命令が出された、とのニュースがありました。
景品表示法(広告・景品のルール)関連のニュースです。初の措置命令ということで、要チェックかなと思いましたので、サクッと見てみます。
事例としては、おせち料理の二重価格表示となっています。
この記事はnoteにもサマリー版を掲載しています
本日のピックアップPOST
【将来の販売価格を用いた二重価格表示で景表法違反】
— 公正取引委員会 (@jftc) September 12, 2025
㈱ジャパネットたかたが販売した #おせち料理 に係る表示について、早期予約キャンペーン価格の二重価格表示が有利誤認に該当し、景品表示法に違反するとして、消費者庁は措置命令を行いました。https://t.co/UmX8nCE6bs#景表法 #不当表示 pic.twitter.com/4QEAAON1xL
二重価格表示とは、要するに、”何かの価格と比較して、価格がそれよりも安い”とする表示のことです。
今回、措置命令が出されたのは、将来の販売価格を比較対照価格とするケースになります。
このケースにつき、執行に関するガイドラインで、将来販売価格執行方針というのが令和2年12月25日に消費者庁からリリースされていますが、これを踏まえた措置命令(是正措置をとれという行政命令)としては初めてのものになる、というのがこのニュースです。
将来販売価格との二重価格表示とは
”将来の販売価格を比較対照価格とする”というのはどういう場合を指しているのか、イメージがしにくいのではないかと思いますが、典型的なのは、新商品の販売開始やサービスリリースを行う場合です。
つまり、新商品・新サービスをリリースする場合に、初期に一定の勢いをつけて顧客を増やす・ユーザーを増やすといった囲い込みのために、”スタートから一定期間は安くしますよ!”といった広告宣伝を行うわけです。そのときに、将来の販売価格を引き合いに出すということです。
ほかには、いわゆる季節モノ、例えばエアコンクリーニングで、夏季より前倒しの時期の料金を安くするなど、繁忙期の価格を将来販売価格としつつ、前倒しの時期の購入は安くするといったケースはあるかと思います。
今回、初の措置命令が出されたのは、おせち料理ということで、いわゆる季節モノのケースといえるかと思います。
不当表示になるかどうかのポイント
不当表示(有利誤認表示)になるかどうかのポイントは、ひと言でいうと、表示の時点で、比較対照価格とされた将来の販売価格で販売する確実な予定を有していたかどうかです。
そして、「確実な予定」と認められるには、”合理的かつ確実に実施される販売計画”をセール期間を通じて有している必要がある、とされています。
簡単にいうと、一般的には、”将来は1000円になりますが、今なら800円ですよ!”と言っておいて、結局その時期から1000円で販売することはない(結局、900円とか800円で売る)というシチュエーションが、問題の所在だからです。
本件の措置命令に関して見てみると、
実際には、本件商品について、当該セール期間経過後に当該将来の販売価格で販売するための合理的かつ確実に実施される販売計画はなかったものであり、ジャパネット通常価格は将来の販売価格として十分な根拠のあるものとは認められないものであったこと
本件措置命令(消表対第1401号)1-⑴-ア-(イ)
とされています。
ただ、ひとつ注意点ですが、措置命令が出されたのは、令和6年10月8日から同年11月23日までの間の表示、つまり昨年の広告表示に関連してです。
なぜ今?という感じもしますが、今年に同じことをしないようにということで、予防的にこの時期に出したという感じなのでしょうか(個人的意見)。
結び
以上、サクッと法律ニュースでした。
将来販売価格との二重価格表示については、メインブログでくわしく解説していますので、リンクからぜひご覧ください🔗
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景品表示法|二重価格表示-将来販売価格と比較する場合
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